毎月19日生野区で「空き家カフェ」が開催されています。
生野区は、大阪市の東南部、JR大阪環状線の鶴橋駅から寺田町駅の西一帯に広がる、古き良き下町の風情を残した人情味豊かなまちです。
長屋と路地、銭湯、ものづくり、在日とニューカマー、地蔵盆とだんじり、様々な生活文化がてんこ盛りです。
一見雑然とはしていますが、ゆっくりとまちを歩いていただければ、それらが実に見事に折重ねられて、ヒューマニックでバイタリティ豊かなまちであることが分かってもらえます。
私たちは、そんな生野ならではの豊かな生活文化を継承し、さらに発展的に創造させながら、地域魅力にあふれ、楽しく活気ある「懐かしい未来」をつくっていきたいと活動しています。
毎月1回、空き家を活用したい家主さん、空き家の利活用に興味・関心のある方々、専門事業者・学識経験者・関係機関などが出会い、情報交換等を行う「空き家カフェ」を開催しています。
空き家を利活用してみたいという方には、様々なサポートもしていきます。
ぜひ、一度、「空き家カフェ」にも参加いただき、ぜひ私たちと一緒に、懐かしい未来を作っていきませんか!
生野区空き家活用プロジェクト運営委員会
生野区は大阪市の東南部にある都心に近接した下町ですが、空き家率は19.8%と高く、それらの多くは老朽化した長屋などの、いわゆるその他住宅です。
また、区域の1/3以上が防災面や住環境面で課題とされる密集住宅市街地であり、空き家を所有する所有者の高齢化に加え、土地建物の権利関係が複雑であることから、自主的な建て替えが進んでおらず、放置された空き家が増加している。そうした空き家を適正に維持保全していくためには、利活用に向けたトータルな支援の仕組みが必要になっています。
その一助となるべく、我々、生野区に事業所を持つ事業者の有志が集まり、「生野区空き家活用プロジェクト」を立ち上げ、専門家・区民・行政(地域まちづくり課所管)が一堂に会する「空き家カフェ」なる取り組みを、これまで毎月1回定期的に実施してきました。
貸し手と借り手が、専門家等を交えて対話を重ねることにより、活用のノウハウ共有、まちの魅力の相互理解、信頼関係の構築等がはかられ、実際にこの場をとおしての利活用が進められています。
生野区では、空き家の利活用の促進は、特定空き家の対策に加え、空き家対策の一つの柱とされており、これまで区役所が毎年我々と協働で「空き家管理・活用セミナー」を開催し、プロジェクトの成果の紹介や空き家管理・活用の情報交換等を行っています。最近は、プロジェクトメンバーが提供する事業所の工房空間で継続開催されています。
プロジェクト開始から5年目を迎えるにあたり、これまでの「空き家カフェ」の取り組みをさらに強化発展させるため、これまでの中心的なメンバーよって、「生野区空き家活用プロジェクト運営委員会」を立ち上げました。
「空き家カフェ」を運用していくなかで、借り手の新たな参加者は多いが、それに相当する貸し手の新たな参加者が多いとは言えません。そこで、貸し手側の相談体制の強化と空き家情報の整理内容を可視化し一覧とすることができる「空き家バンク」の設置の必要性が議論されてきました。
「空き家バンク」は、不動産情報として一般に流通してない、いわゆるその他住宅が基本的な対象となる。不動産事業者が充実している大都市においては、それでも流通されない空き家を不動産情報としてリスト化することが困難であり、現在のところ、大阪市では、「空き家バンク」制度を立ち上げる動きはみられません。
「空き家バンク」は、空き家を何とかしたいとは思いつつも様々な不安や事情を抱えた家主と、借りたい人が「空き家カフェ」に参加をしてもらい、face to face の信頼関係を構築し、さらに利活用のノウハウを共有したうえで、「空き家バンク」の活用を考えてもらえるようなそんな段階を踏んだマッチングシステムが特徴的であるといえます。
そのため、貸し手は利用者や利用内容のイメージ、利用にあたっての課題や解決のノウハウを、予め想定したうえでバンクに登録することができ、そうした案件情報が可視化され、見本となることによって、また新たな案件の呼び込みにも寄与していくことが期待できると考えています。
また、単に「空き家バンク」でニーズとシーズをマッチングするだけでなく、「空き家カフェ」で多様な主体が対話を重ね信頼関係を構築し、さらには「まち歩き」やセミナーを開催するなど、まちの魅力や生活文化への相互理解を深めること、成約後もカフェに関わるなどして暮らしを支えるトータルな仕組みを専門家が提供する取り組みです。
「空き家カフェ」と「空き家バンク」という、こうしたまちへの愛着・誇り・共感をベースとしたコミュニティづくりは、これからの持続可能なまちづくりの取り組みのひとつとして開催されています。